フリテン覚悟
最初に断っておくが、この術、
使いどころを習得するまでは、
よっぽど追い詰められた時だけ使って欲しいんだ。
自分をわざとフリテン状態にする「仮死の術」だから、
危険なこと、この上ないんだー。
恐ろしい術なんだね。覚えておく。
よし、じゃあ、この手を見てくれ。

 ツモ

南4局 南家 現在4位 トップ(親)との差 23800点
門前清自摸だけかあ…。
なら、純全帯幺、三色同順もついて、跳満だったのに。
ここでを捨てて立直だ!おりゃー!
ゑゑゑ、フリテンになっちゃったじゃん。
そうだよ。わざと、フリテンにするんだよー。
立直をかけることで、をツモれば、
立直、門前清自摸、平和、純全帯幺、三色同順。
ドラなしで、倍満まであるぞ。
1100点が、16000点だ!
多分、シャドーネも言うだろう、『生贄を出す価値アリ』ってね。
フリテンは見逃してあげられないけれど、
点数が15倍にもなるんだから、
一か八か、フリテンリーチ!
ロンはできないけれど、一発逆転の可能性に賭ける…
こんな打ち方もあるんだー。
見返りがそれだけ大きければ、
仮死状態になることにも納得がいくね。
他にも例はない?
そうだな。こんな例を見てみようか。

 ツモ

南3局 9巡目 北家 現在2位 トップとは3300点差
これは…またまた、門前清自摸だけだね。
これをツモあがりしても、まだトップになれない。
次のオーラスで決着を…。
違うぞ、るなちゃん!ここは捨てて立直だ!とりゃー!
え!…って、ああ、なるほど。残った形が、
、5門張、17枚待ちだもんね。
以外は断幺九もつくし、最悪をツモっても、
立直、門前清自摸、平和。1300/700もらえて、
トップの相手が親でも子でも、逆転できる!
そ。待ちが良い、もう少し高い手だと逆転、とかの
条件がうまく揃ったら、フリテンリーチもアリだよね!
次の局で、こんなに素晴らしい待ちができるとは思えない。
だから、フリテンになっても構わない、
この手を最大限有効に活かすんだ!
この場合は、追い詰められた時というより、
敵を追い詰める時の仮死状態だね。
条件次第では、フリテンリーチも有効…
よーく覚えておくよ。



フリテン保険
これも、あんまりオススメしない術なんだが…。
場合によっちゃ、有効なこともあるので、教えておくよ。
名づけて、フリテン保険。
いつも思うんだけど、保険って、
自分がひどい目にあったときに備えて
お金を掛けておく…一種のギャンブルだよね。
まあ、そういうこった。
そんなギャンブルには、絶対勝ちたくないけどな。
この術は、狙った役の裏目を引いた時にかけておく保険だよ。
こんな例で考えよ〜。

 ツモ 

南4局 南家 現在2位 トップ(親)との差 500点
あがればトップの超接戦だから、
鳴いて三色同順を目指したんだね。
で、ツモ?普通に必要ないよ。
実は、このが、保険になるんだ。
だからここはを捨てようぜ。
わけがわからない。
なんでが保険になるの?
三色同順にならない、
を引いちゃった時のことを考えてみよっか。

 ツモ

捨牌 をツモってくると その後
を捨て
フリテンに陥る
を捨て
フリテン回避
(再度、
を待てる)

おおっ、そうか。
裏目のにくっつく牌を、保険として持っておけば、
フリテンを回避できるんだ。
そういうこと。
意地でもアガりたければ、安全牌の代わりに、
このような「保険牌」を持っておくことも、戦略だよ!
安全牌をストックできないのが、玉に瑕なんだけどな。
まあ、どうしてもアガりたいとか、
保険牌が全員共通の安全牌だとか言う場合は、
積極的に保険牌を持つといい。
なるほど、「保険牌」か…。覚えておくよ。



不要牌を持ちすぎるな
ねえねえ、この手、何を捨てたらいいのかな。
東1局、6巡目だね。
どれどれ・・・うわ、なんじゃこりゃあ。

 ツモ
なんじゃこりゃ〜。
でしょ?ふたりとも、捨てる牌に困るほど、難しいよね?
そういう意味で驚いたんじゃない。
この手な・・・。
「太りすぎ」なんだよ〜。
太りすぎ?どういうこと?
ぶっちゃけ、必要ない牌が、いっぱいあるんだ。
そうかなあ。
だって、345とか567とかの三色同順、
索子の一盃口、いろいろ考えられるじゃない?
だから、どれも捨てられないんだよね。
必要のない牌なんて、私には見当たらないよ?
今、るなちゃんの言った役だけ考えるとすれば、
こんな風に持ってても、役は完成するよね。

 ツモ
345・・・567・・・索子の一盃口・・・
ほんとだ、この手格好でも、十分に役が狙えるね。
でも、とかを引いたら、どうするの?
ねえ・・・。
そんな牌引いて、るなちゃんなら、嬉しいかい?
え・・・そう言われてみると、そんなに嬉しくないかも。
三色同順にはならないし、断幺九も消えるし、
あんまり必要ない牌かもね・・・。
だよねー。
こんな風にムダな牌をたくさん抱えた状態で、
敵が立直と来ちゃうと、
もうベタオリしかできなくなっちゃうんだよ。
また、一向聴、聴牌と手が進んだ時、
敵にも使いやすい牌が、
どんどん出て行くことになるでしょ?
敵に振り込む時って、そういう場合が多いんだ〜。
思い当たるフシはあるね。
16巡目でようやく聴牌して、意気揚々ととかの
ど真ん中を捨てて、ロンされちゃったり。
ってことは、安全そうな牌は常に持っておけ、ってこと?
当たらずとも遠からず。
あくまでも、「不要牌をいつまでも手に残しておくな」
ってことを言いたいんだ。
その結果として、安全牌が1枚か2枚、
手の中に残ることになるけどねー。
そっか、太りすぎって、そういうことなんだ。
さっきの手で言えば、が贅肉・・・。
早いうちに贅肉を落として、スマートに役を狙おう、
ってことなんだね!
その通りだ!
不要牌は、できるだけ早く捨てとけよ!
あ、なりふり構わず、とにかくアガらなきゃ、
とかって場合は別だよ。
あくまで、普段の心得として、覚えといてねー。



5ブロック理論
あっそうだ、不要牌と言えばさ。
るなちゃん、序盤で、不要牌の選択を間違えていることが、
よくあるみたいだよ〜。
えっ、序盤?
混一色とか、役牌とかを狙う場合を除いて、
友達の少ない字牌を捨てるようにしてるけど。
ウィンが言ってるのは、そういう、
「誰が見ても不要牌」っていうのが、ない時の話だな。
いつだったかの、るなちゃんの手牌は、こんな感じだった。

 ツモ
そうそう。るなちゃん、を捨てたよね〜。
ふたりとも、よく覚えてるね。
私はちっとも覚えていないけど…。
うん、この手ならを捨てるよ。
七対子二向聴だけど、両搭がいっぱいあるから、
七対子は狙わない。
で、雀頭の候補はいっぱいあるんで、の両搭を作るよ。
なるほどな。一応、もっともらしい答えだぜ。
じゃあ、を捨てた後、首尾よくを持ってきたとするだろ。
その時、何捨てようと思う?
 ツモ
ええと、えーーっと。
ポンチーよし型を目指して、かな?
るなちゃん、今、のうち、
どれを捨てようか迷ったでしょ。
そうだよ。
両搭は捨てないから、おのずと、そう考えるよね。
じゃあさ、どうして迷ったんだと思う?
え。どうしてって言われたって…。
捨牌候補がいろいろあれば、迷うものでしょ。
教えてあげよう。
それはね、「不要牌を選び損ねた」からなんだ。
最初のを捨てるのが間違ってたってこと?
じゃあ、どれを選ぶべきだったのかな。
それを説明するのが、「5ブロック理論」〜。
るなちゃんの世界の人間がつけた名前だよ。
…理論とかって言葉がつくくらいだから、
よっぽど難しい話なんだろうね…。
私に理解できるのかな。
ははは。
人間ってのは、こむずかしい名前をつけたがるから困る。
全然難しくなんてないよ。
面子候補をブロックに分けて、有利なのを残そうって考え方だ。
なるほど、それなら理解できる。
具体的には、どういう風に考えたらいいの?
うん。じゃあねえ。
さっきの手、ブロックに分けてみるよ。

     
うん、面子候補は、この6つ。
こうして、分けたもののことを、「ブロック」って呼ぶんだね。
その通りだ。
ところで、火の鳥、即ち手牌構成は、
4面子、1雀頭で作るんだったよな。
言い方を変えると、火の鳥は、5ブロックで作るってこった。
ブロックの数で言えば、そうなるね。
・・・ってことは、この手、ブロックがひとつ多いね。
そうなんだよ〜。
いらないブロックが、ひとつあるの。
そのブロックが、「不要牌」だよ。

じゃあ次は、どのブロックが不利?
不利なのは、2つしか友達のいない、だよね。
だけど、は役になるって点では有利だから、
一番不利なブロックはってことになるのかな?
そういうこと。
このを捨てれば、次に手が進んだ時、
これっぽっちも迷わないんだ。


↓↓↓



↓↓↓

 ツモ
迷うことなく、を捨てるよね〜。
なるほど。
ブロックの数を数えて、5つを超えてるようなら、
不利なブロックが「不要牌」ってことにすると、
あとあと迷わないんだね。
一番不利なブロックを捨てたんだから、効率もいいや。
今度から、そうやって、「不要牌」を見つけることにするよ。



三つ首龍を追い払え
ねえねえ。この前、5ブロック理論を教えてもらったじゃない。
おー。役に立っただろ?
その後、こんなマンガを読んだんだけど。
見てこれ、ほらほら。これがよく分かんないの。
5ブロック理論で説明できないかなあ。
見せて見せて!へー、これが「マンガ」か〜。
なんだか、ムカムカしてくるような絵だね。
ウィン、ちょっと好きになれそうにないや。
お話の内容は…えーっと、「3ヘッド最弱理論」?
フレムおねえちゃん、これって…。
初心者さんにしょっちゅうちょっかい出しに来る、
『三つ首龍』のことじゃんか。
あいつら、るなちゃんの世界にも出没するのか。
困った奴らだぜ。
え、何?三つ首龍?
七対子は、7つ首のある龍だっていうのは教わったけど。
首が3つの龍もいるの?
火の鳥を作ってると、突然、
この龍に変化してしまう場合があるんだよ。
役に立たない奴らでね…あんまり嬉しくない存在なんだけど、
初心者さんは、こいつらの正体を知らないもんだから、
ついつい有難がってしまうんだ。
こんな手が、三つ首龍だよ。


えっと、そうそう。
つまり、「ポンチーよし(複合搭子)」が3つある場合だよね。
この三つ首龍、5ブロック理論では、あんまり説明できないね。
ブロックに分けてみてごらん?
    
あ・・・ちょうど5ブロック。
いらないブロックは、ないんだね。
だよね。
複合搭子の、どれを、どんな風に捨てる?って問題だよ。
ぱっと見、私なら、捨てる。
辺搭にするくらいだったら、をポンできる形にした方が
いいような気がするし。
・・・。ほら、三つ首龍のお出ましだ。



雀頭の候補が、3つになっちゃっただろ?

「気がする」って曖昧に考えると、三つ首龍に囚われちゃうんだよ。
ちょっと冷静に考えてみ。
アクアおねちゃんから、「ロス」は習った?
何かを捨てた後、「それを引くとガッカリ」って牌のことだけど…。
うん。習った習った。
それなら、単純に、の形から、
を捨てた時とを捨てた時のロスを勘定してみてよ。
捨てた牌 残った形 ロス 枚数

ああっ、そうか。
とするよりも、とした方が、2枚多く待てるね。
同じ理由で、嵌張の複合搭子のって部分も、
を捨てた方が効率がいいよ。
しかも、この場合、を引くと、両搭ができるもんね。
は捨てられないよね〜。

手の中にはないけれど、って形だったら、
なおさらを捨てるべきだよ。
、どっちを引いても両搭ができて、嬉しいもんね。
の部分は…説明しなくても分かるだろ?
この形からを捨てたら、不利になるのは明らかだもんな。
だんだん分かってきたよ。

@ 複合搭子が3つあったら、嵌搭や辺搭を作る
A 両搭への変化を考えれば、嵌搭を作る方が有利

こういうことでいいかな?
OK。
三つ首龍なんか、いちいち相手にしてちゃダメだぞ?
フレムさんとの約束だ!
はーい。

しかし、いろんな龍がいるもんだね。
私の世界にも、いろんな龍が語り継がれてるよ。
命の砂漠へ雨雲の渦を運ぶ銀の龍とか、
良い子なボウヤをネンネさせる長ーーい龍とか、
でっかい宝島から7つの球を集めると下着をくれる龍とか、
被災地の方の感情を逆なでするようなこと言って罷免された龍とか。
へー、役に立ちそうな龍ばっかりだね〜。
三つ首龍にも、見習って欲しいよ。


順切り・逆切り
そういや、これを教えてあげてないな。
「順切り・逆切り」。
あれっ?ほんとだねー。
アクアおねえちゃんあたりが、教えてあげてもいいのに。
「順切り・逆切り」?
これも、ふたりがけの術なの?
だとしたら、アクアさん、遠慮したんだと思うよ。
フレムさんやウィンちゃんが教えた方がいいだろうなー、って。
ははは。あいつのことだから、そうかもね。
じゃあ、あたしが教えてあげるわ。
とりあえず、こんな手。何捨てる?

 ツモ
簡単簡単!ここは当然、を捨てるよ。
は、超有利な両搭。
の辺搭より、はるかに価値が高いもんね!
その通りだな。
じゃあ、、どっちを先に捨てるんだい?
ドラとか関係ないでしょ?
そんなの別に、どっちからだっていいじゃん。
えへへー。
この手の場合、実は、そうじゃないんだー。
フレムおねえちゃんなら、どっちを捨てるの?
有無を言わさずだな。
えー。どっちでも同じ気がするんだけどなー。
どうしてを先に捨てるの?
あれっ。気付かないか?るなちゃんらしくないぜ。
こうなるかも知れないじゃんか。

 ツモ
あっ。おおー、確かに!
これならを捨てて、断幺九にするよね!
だよねー。
には、まだ価値があるから、あとで捨てるべきだよね。
こんな風に、辺搭や嵌搭を、外側⇒内側の順で捨てることを、
「順切り」って言うよ。
なるほど。外から内へ捨てるのが、「順切り」ね。
「逆切り」は?
それじゃ、さっきの手を、ちょっと変えてみるよ。
これなら何を捨てる?

 ツモ
これも、やっぱり、を捨てるのがいいね。
この場合…使いもしない『友達の多い牌』は
早く捨てるべきだろうから、の順で
捨てるのがいいと思うけど、どうかな。
せいかーい!ウィンも、そう思うよ!
今回の場合、の価値はほとんどないから、
危なくなりそうな牌を先に捨てるのがいいね。
こんな風に、辺搭や嵌搭を、内側⇒外側の順で捨てることを、
「逆切り」って呼ぶよ。
なるほど、順切りの反対が、逆切り。
そのまんまだね。
で、「順切り」「逆切り」が、どう役に立つの?
ん?既に上級者のるなちゃんには、大して役に立たない。
ズルッ。ここまできて、それはないでしょ。
初心者さんとか、中級者の皆さんなら、多分、
なら、の方が友達が多くて敵もほしがる牌。危険!
って考えるから、と逆切りするのが、普通だよね。
それはそれで合ってるの。
だけど、上級者同士の戦いでは、のどっちが危険かは、
捨牌とかで判断すべきなんだよ。
だから、必ずしも、逆切りが防御を意識した術とは言えないんだー。
「順切り」「逆切り」が基本、ってことだ。
基本は基本として押さえておくのも悪くないぜ。
少なくとも、さっき、るなちゃんは「順切り」の効能に
気付かなかっただろ?
断幺九が完成しそうなら、順切り。これだけでも、十分、
覚える価値はあると思うんだが、どうだい?
うーん・・・それもそうだね。
ふたりがけの術だけど、これが「基本」ってことか。
断幺九が目指せそうなら、順切り。これは大切だ!



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