カンで海底ずらし
私の上級術「海底ずらし」、活用していますか…?
そりゃもう。
立直した人に海底牌を渡さないだけで、
けっこうな効果があるよ。なんてったって、
海底牌を取るはずだった敵の悔しがる様子がもうね!えへへ。
よく理解していらっしゃる様子ですが…。
るなちゃんは、S体質なんでしょうか。
意外にも、そんな感じですわね。
ところでるなちゃん、私のカンでも必ず海底がずれること、
ご存知でして?
あれっ、そう?
例えば暗槓だと、人から牌を持ってこないから、
ツモ順もずれないんじゃない?
ツモ順は、確かにズレませんわね。
しかし、カンをしますと、海底牌はどうなりまして?
あー、そうそう、そうだった。嶺上牌がひとつ取られた分、
偉い人の牌…王牌に、ひとつ補充するんだった。
ってことは、海底牌が、ひとつズレるね。
その通りです、
暗槓をしますと、ツモ牌がひとつ減るため、海底牌の権利は、
南家から見て、左側にズレるのです。
なるほど、よく考えれば、そうなるね。
ってことは、ファエルさんの上級にあった表を書き換えると、
こんな風になるってことかな?

喰い仕掛け 左から 向かいから 右から・カン
海底牌の行方 右へ 向かいへ 左へ

右(下家)から鳴いたのと、同じになる?
そういうことになりますわ。
あっ、待てよ・・・。
暗槓なら確かにそうなるんだろうけど、
大明槓や小明槓では、どうなるのかな。
大明槓も小明槓も、「ポン」+「カン」と考えることができます。
大明槓であれば…例えば、対面から大明槓をしますと、
「対面からのポン」+「カン」と見ることができるのです。
とすると、この時の海底牌は…?
対面のポン⇒向かいへ、
カン⇒左へ。
ということは、えーっと、右にひとつ移動するんだ!
その通りです。
言葉だけだと、理解するのが難しいね。
いっそのこと、さっきの表に、カンの場合も記載した方が
いいんじゃないかな。
なるほど、その発想はありませんでしたわ。
書き加えてみますわね。

喰い仕掛け 左から 向かいから 右から
カン 向かいからの大明槓 右からの大明槓 暗槓 左からの大明槓
海底牌の行方 右へ 向かいへ 左へ 変わらず

・・・なんか、超ややこしくなっちゃった。
やっぱ、「カンは左へ」だけ覚えればいいや。
おや。表にすると、興味深い項目が現れました。
左からの大明槓は、海底牌の行方が変わりません。
海底ずらしをするつもりであれば、左からの大明槓は、意味がないのですね。
それは覚えておく必要があるかもね。
オーラスの南家が、一か八か、嶺上開花に賭けて、左から大明槓。
嶺上開花は失敗しても、そのあと、海底牌を持って来れる。
本当に一か八かですわね。
大明槓の後、敵が喰い仕掛けをすれば、自分に海底牌は回って来ませんわよ。
まあね。よっぽどの時しか応用できないから、あんまり役には立たないかな?

ひとりでできるもん!
カンによる海底ずらしが、ポンやチーでの海底ずらしと圧倒的に違う点は、
どこだと思いまして?
海底がズレるのは、どっちも同じでしょ?
違う点?なんだろうね。わかんない。
圧倒的に違うのは、ポンやチーは、敵から牌を奪うのに対し、
カンは、自分ひとりでも可能な点です。
なるほど、確かに。
ポンやチーだと、敵が鳴ける牌を捨ててくれないと、海底ずらしは発動できないね。
だけど、カンなら、自分ひとりだけの力で、海底ずらしができるんだ。
実戦譜に、このような局面がございましたわ。
東家 25000点



北家 25000点



東1局 ドラ

南家 25000点
(るなちゃん)


西家 25000点
 ツモ
東1局、のっけから親の3巡目立直!
えらいこっちゃー!ってみんながバタバタ降りて、
結局ここまでアガれていない図だね。
で、親がを暗槓してるんだ。
ってことは、海底牌は、南家から見て左にズレるんだから…
うわあ、立直の親に行くよ!
親に海底牌が行くことは、暗槓の時点で分かっていました。
なんとかしてツモをずらしたかったのですが…
立直の親から、鳴けるものが、なにひとつ出てきません。
うう・・・海底ずらしは、誰かに任せるしかないのかな。
そこに舞い降りた、ひとりの救世主。
その名もですわ。
ここでは、これをカンするのが最善策でしてよ。
敵の立直にカンをするのは、愚の骨頂。
そう教えてくれたのは、シャインさんだったけど?
このを暗槓することで、海底牌は、更に左…即ち、北家へ移動しますわよね。
立直の親のツモ牌を、完全に消し去るカンですの。
親にツモのチャンスがあるうちは、その通り「愚の骨頂」ですけれど、
敵のチャンスを潰すカンならば、誰もが納得ですわ。
なーるほど!西家も北家も、ガッチリ降りている様子だし、
ここはカンをして、親のツモを消し去ればいいんだ!
嶺上牌を引いて、今しがた対面が通したを捨てて、ターンエンド!

見て!親のあの顔!平静と失望の入り混じった、味わい深い表情!
いい術を習っちゃったなー!
やっぱりるなちゃん、S体質…。
海底ずらしをする時のるなちゃんは、とてもイキイキしています。
まあ、よろしいんじゃありませんこと?
敵を妨害することは、非常に大切な戦略ですもの。
…そうですね。
逆に言えば、敵の妨害も考えずに、指をくわえて見ているだけ、
なんてのは、最悪ですからね。
海底牌、何だったんだろうなー。
絶対、親のアガリ牌だったに違いないよ。
それを私一人で阻止した。親の失望の表情、えへへ、えへへへ。
…にしても、少々、行き過ぎでは。
大丈夫でしょうか、るなちゃん…。



二虎競食の計
その昔、このようなことがあったそうです。
『あの国を奪いたいが、わが国は今、弱体化している。どうすれば良いか。』
と悩んでいた偉い人に、さる軍師はこのような計略を提出しました。
『こちらから撃って出るのは下策。
勅命を下し、討伐任務をさせて、あの国の更なる弱体化を図りましょう。
あの国は、討伐相手と仲良くしようと思っている様子ですから、一石二鳥です。』と。
これを、「二虎競食の計」と言います。
出たー!天才軍師のお話!ファエルさん、そういう話、大好きだよねー。
ファエルは、「策」だの「計」だのという言葉が大好きでしてよ。
喰い仕掛けも、策を弄する術。親近感が沸くんじゃありませんこと?
…そうなんです。計略で自分の立場を有利にする、という所に、惹かれます。
今回の策は、カンが必要です。シャインとのふたりがけにて、ご紹介致します。
さあ、このような局面がございました。
東家 56000点
北家 17000点


南4局 ドラ
南家 9000点
(るなちゃん)

西家 16000点
 ツモ
オーラスでこの点差。
なんとか満貫を作ろうとしたんだけど、相次いで立直が入ったね。
とてもアガれる手じゃない。安全牌はたくさんあるけど、ラスで降りたって、ねえ…。
を捨てて、せめて、前のめりに倒れようか…。
しょぼくれるにはまだ早いですわ、るなちゃん。
幸か不幸か、が4枚、手の中にございます。
これをカンなさいませ。
か、カン?立直にドラを増やすばっかりだよ?
それとも、一発消しのつもり?
ここで重要なのが、立直をかけてきた相手との点差です。
るなちゃんとの差は、いかほどでしょうか?
満貫点、8000点と7000点だよ。
だから、なんとか、混一色を作ろうとしてたんだと思うけど…。
即ち、どちらかが誰かに「満貫を振り込む」ことで、るなちゃんは3着に浮上できますの。
敵の手がどれほどのものかは予測できませんが、
少なくとも、ドラを活用していることは、なさそうですわよね。
なるほど!だから、わざとドラを増やして、殴り合いの結果の自滅を誘うんだ!
その通りです。このカンで、ダントツの親はおそらくベタオリ…。
るなちゃんも、ベタオリに入ることで、立直の2名が殴りあう構図となります。
まさに、2頭の虎の、大喧嘩。
どちらかが、どちらかへ振り込んだなら、しめたもの。
あとは満貫となることを祈るばかりです。
そっかー。
カンのデメリットである、「他人にドラを増やす」ことを、利用するんだね!
さすが、ファエルですわね。
カンのデメリットすら、活用してしまうとは…。
私単独では、到底できない術ですわ。
あっ、でも、ツモられちゃったら、どうしよう。
その時はその時。
元々、4位に終わる公算の高いオーラスだったのです。
策を弄して順位をひとつ上げる努力をした分、優秀です。後悔はありません。
・・・確かに!
追い詰められたら、こんな風に場を荒らして、誰かの自滅を誘う。
よく覚えておくね!



ドラ受け残しU
るなちゃんに、この問題を考えてみて欲しいんですの。
なーに?問題?
東1局、るなちゃんは親です。
6巡目、上家がを捨てました。チーしますか?
   ドラ
をポンしてあるんだね。
これはもちろんをチーだよ。を捨てて、待ち。
役牌ドラ1個、2900点だけど、なにしろ親だもんね!連荘しなくちゃ!
どのようにチーなさいますの?
どのように?それはもちろん、この形にしなくちゃね。
     ドラ
え・・・ではなく、とチーした理由を教えて下さい。
だって、を残すより、と残した方が、
敵が攻めてきた時、安全牌になりやすいじゃん。
えっ・・・ああ・・・ドラたちの無念が伝わって参りますわ。
ちょっ、ちょっと待って!シャインさん、そのせりふ、どっかで聞いたことあるよ!
・・・思い出した、「ドラ受け残し」の時だ!
ってことは、これも、ドラ受け残しの話だったの?
はい。実は、これも「ドラ受け残し」の話です。
・・・そこまで気づいて頂いたなら、もう分かりますわよね?
この、どのように鳴くべきでして?
が間違いなら、正解はしかないよね。
だけど、これがどうしてドラ受け残しに・・・って、
ああそうか!を残すと、ドラのを引いた時に使いづらいけど、
と残しておけば、を引いた時、と入れ替えられるんだ!
ドラが使いやすい!
その通りです。
ドラを引いた時、困らないメンツを残すように、チーをする…。
簡単なように見えて、意識しないと、なかなかできないことです。
2900点より、5800点の方が嬉しいはずですわ。
ドラ受けを残すような鳴きを心がけて下さいまし。
はーい!


ドラ受け残しV
まあ…知識に罪はございませんものね…。
そんなに悲しい顔をしないで下さい…。
これも立派な、私達の術なんですから。
あのー…どうしたの。
なんかあったの?
あっ!…いえいえ、何もございませんでしてよ!
るなちゃんに、術を差し上げようと、ファエルと相談しておりましたの。
そうなのです。
るなちゃんは「天鳳」をやりますよね。いわゆる「赤ドラの入った麻雀」を。
そして、確か、天鳳では、喰い替えは…。
うん。天鳳には、が入ってるよ。
天鳳は喰い替えなし。からチーしても、は捨てられないね。
その、あの、喰い替えなしの、が入った麻雀で役に立つ、
ドラ受け残しの知識でしてよ。
はい。るなちゃん、いま、をポンしました。
ここから、何を捨てますか?
   ドラ
を捨てれば聴牌じゃん。
別にどっちでもいいんじゃない?ポンしたなら一盃口 もないし。
・・・。
・・・どう?合ってる?
別にどっちでもいいでしょ?
(ほら。シャイン。打ち合わせ通りに。)
あっ、ええ、その、ドラの無念が、つ、伝わって参りますわ…。
え…今回ばかりは、のどっちでもいいと思うんだよね。
赤ドラの心配してるなら、を引いてきたって、入れ替えられるしさ。
をツモって来たのであれば問題ないのです。
しかしながら、を捨てた後、上家がを捨てた場合のことを、考えてみて下さい。
を捨てて、上家がね。えーっと、こうだ。

  出る ドラ

ありゃりゃ。
これ、をチーしようとすると、を捨てなくちゃならなくなるね。
現物喰い替えになるから、チーできないや。
ですよね。
では、先にを捨てていたら、どうでしょう?
を捨てた後、上家がを捨てれば、

  出る ドラ

あー、なるほど。
を、でチーして、を捨てれば、喰い替えにならずに、

   ドラ

こうできるんだ!
すごい!ドラ3の満貫手になった!
捨てるのがかで、点数が全然違いますよね。
という形を優先的に残し、
赤ドラをチーできる態勢を整えるクセをつけましょう。
これは今まで全然意識してなかったよ!
鳴ける手は、こういう形を残すように…って、シャインさん?
・・・。
(ねえ。さっきから、どうしちゃったの。シャインさん。)
(すみません。赤ドラは、ギャンブルに直結する牌。この世界では『毒』なのです。
そこを押して、付き合わせてしまったものですから…。)
(あ、そっか…赤ドラって毒だったね。
でも、役に立つ知識だよ。今回は、このままそーっと終わろうか。)
(そうしましょう。
天鳳などの、広義の健康麻雀の為だけに、この術が使われることを願います…。)



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