海底ずらし
るなちゃんも、上級者らしくなってきましたね…。
既に、アガリだけを目指す初心者から、脱却しているようです。
麻雀って、面白いよね!
テクニックを知れば知るほど、有利になるんだもん。
そんなるなちゃんへ、私も、食い仕掛けの奥義をお教えしましょう。
…その名も「海底ずらし」。
海底って、最後のツモ牌のことでしょ。
海底をずらすって、どういう意味?
敵がとりやすいように、山を前に出すこと?
確かにそれも「ずらして」いますね。
でも、そういうことではなく、
海底牌の行方をずらす、という意味です。
もっと簡単に言えば、海底ずらしとは、
『誰が海底牌を持っていくかを操作する術』です…。
そんなことが狙ってできるんだ。楽しそう!
まず…全く食い仕掛けが起こらない局において、
海底牌は、誰のものでしょうか?
あれっ。誰だったっけ。
136枚の牌があるでしょ、13×4=52が手牌でしょ、
王牌が14枚あるから、136−52−14=70。
70枚がツモ牌でしょ、4人でとっていけば、
70/4=17、あまり2。
この2つのあまり牌は、東家、南家ととっていくから…。
あっ、分かった、海底牌は南家のもの。
ものすごい計算、有難うございます。
喰い仕掛けのない場においては、海底牌は、南家のものです。
海底牌であがれると、海底撈月がつくんだったよね。
私、この役、好きなんだー。
「るな」って英語で月って意味なんだって。
私の名前が入ってる。
それに、海の底の月を掬う…なんかロマンチックだし。
この海底牌の行方を、自由自在に操ってみましょう。

海底牌の行方
海底牌は、どうするとズレるの?
『喰い仕掛け』により、ズレます。
どうして『喰い仕掛け』をすると、ズレるのかなあ。
本来ツモってくるはずの牌を、取らなかったことにより、
ツモ順が狂うことから起こります。
誰から食い仕掛けを行うかによって、
海底牌のズレる方向は決まっています。
喰い仕掛け 左から 向かいから 右から
海底牌の行方 右へ 向かいへ 左へ
左っていうのは上家のことだね。

えーっと、左から鳴くと、海底牌は右へ。っていうのは、
例えば、誰かがチーすると、
もともと南家のものだった海底牌が、
西家のものになるってこと?
その通りです。
『右から鳴いたら、左へ移動』は、
誰かが下家からポンしたら、
もともと南家のものだった海底牌は、左の東家のものとなります。

右から鳴いたら左へ、
左から鳴いたら右へ、
向かいから鳴いたら向かいへ。
覚えやすいと思います。
♪みーぎーかーらーやーあーってきーた〜
♪とーつーぜーんーやーあーってきーた〜
♪ぼくはーそれをーひだりへうけながす〜(略)
えっ。るなちゃん、その呪文は一体…。
海底牌の行方が、見事に表現されています。
私の好きな芸人さんが歌ってる歌だよ。
ああ、妖精さんって「歌」を知らないんだっけ。
あとで教えてあげるよ。
ありがとうございます。
では、練習してみましょう。
このような状況で、海底牌は、誰のものでしょうか。
鳴き
東家
南家
西家
北家
うひゃー、みんな鳴きまくりじゃん。
このような食い仕掛けの非常に多く入った状態を、
「空中戦」などと呼ぶようですね。
ポンやチーの入り混じる姿が、
戦闘機同士の打ち合いを
想像させることから来ているのでしょう…。
しかし、私は、この言葉、嫌いです。
戦争を彷彿とさせるような表現は、
暴力的で、不健康ではないでしょうか…。
じゃあ、私が名前つけてあげる!
そうだなあ、「雀の学校」っていうのはどう?
みんなポンチーって一生懸命鳴いて、お勉強してる姿!
それであれば、なごみます。
木々の間でさえずる小鳥たちが、脳裏に浮かぶようです。
脱線しちゃったね。
えーっと、この、雀の学校状態の、海底牌の行方は…。
鳴き、行方
東家 (向かいへ)
(右へ)
南家 (右へ)
西家 (右へ)
(左へ)
北家 (左へ)
全部合わせると、『ひとつ左へ』ってことになるね。
ということは、海底牌は、東家のものってことか。
お見事、その通りです。このように考えれば、
雀の学校状態であっても、海底牌の行方が分かりますね。
なるほどね!理解したよ。

海底牌をツモらせるな!
ずいぶんと頭を使って海底牌の行方を追ったけど、
具体的には、何の役に立つのかな?
海底牌を、聴牌している人に渡さない…
そんな使い方ができます。
なるほど。
聴牌している人でなければ、海底撈月も発生しないんだ。
でも、聴牌してるかしてないか、どうやって判断するの?
終盤の捨牌でも、いくらか判断できますが…
誰が見ても、必ず聴牌していると分かる人がいますよね。
…あっそうか。「立直をかけた人」だね!
正解。少なくとも、リーチした人は、絶対に聴牌しています。
この人に海底牌を渡さないことを考えるだけでも、
十分効果があるんですよ。
具体例を示しましょう。
北家 25000点

西家 25000点


東1局 ドラ

東家 25000点
(るなちゃん)


南家 25000点
私の立場は、南家の立直に降りた親だね。
上家がを捨てて、今、私がツモってくる番…。
海底牌は、誰のものでしょうか?
おっと、喰い仕掛けはひとつも入っていないから、
立直をかけている南家に海底牌が行くよ。あぶない!
ご覧の通り、るなちゃんは、あとひとつのツモ牌を引いても、
聴牌できません。どうしたらいいでしょうか。
どうせ聴牌できないなら、立直の南家を妨害しちゃおう。
よしっ、ここで海底ずらし!
上家のをチーして、海底牌を右へ。
つまり、西家に海底牌を渡す!
そして4枚目のを捨てて、ターンエンドだっ!
正解!
自分のアガリが無理ならば、海底牌をずらし、
敵の手が高くなるのを妨害します。
でもさあ。
鳴いてしまったばっかりに、ツモられてしまったら、
私のせい、ってことにはならない?
うーん・・・。
海底ずらしをご存じない初心者の方には、
そのように思われるかも知れません。
しかし、上級者は、「海底ずらし失敗か…」と、
理解下さるでしょう。
いずれにしても、今、直面している状況に対し、
最善の手が海底ずらしならば、躊躇してはなりません。
そっか。最善を尽くせば、人の評価なんか、関係ないんだね。



海底牌をツモらせろ!
ちょっとちょっと、ファエルさん…。
さっき、海底牌をツモらせるな!ってやったばっかじゃん。
それなのに、今度は「海底牌をツモらせろ」?
なにかの間違いじゃない?
確かに、さっきとは矛盾したタイトルですね。
しかし、私がお教えしたのは、あくまで、
海底牌の行方を操る術…。
海底牌をツモらせた方がいい場合というのも、
往々にしてあるんですよ。
そうなの?
だけど、シチュエーションが思いつかないよ。
例として、このような場合を考えてみましょう。
「海底牌をツモらせるな」の時と同じ捨牌ですが、
点棒状況など、少々変えてあります。
東家 34000点

北家 21700点


南4局 ドラ

南家 32300点
(るなちゃん)


西家 11000点
あちゃー、聴牌できなかったか。
残念だけど、この半荘、2位で終了だね。
海底牌は…これから私が持ってくるのか。
どうせ聴牌しないから、100%安全牌である、
上家のを合わせ打ちして、流局。よくあるシーンだよ。
どれどれ、海底牌を…。
待って、るなちゃん。
ここは、上家のをチーして下さい。
うわ。そんなことをしたら、
海底牌が、立直をかけた下家へ行くよ。
ツモられたらどうするの?私、しーらない!
下家さん、お願い、アガって…。
ちょっとちょっと、ファエルさん…。
下家の応援して、どうするの。私を応援してよぅ…。
わっ、海底で、下家がツモあがりしました!
立直、門前清自模、平和、海底撈月、ドラ。
満貫です!やったぁ!3着浮上、おめでとう!
もう!いい加減にしてよ!
どうして下家のアガリが嬉しいの!?
ふふっ。点数をご覧下さい。
東家 30000点

北家 19700点


南4局 ドラ

南家 30300点
(るなちゃん)


西家 20000点
 
あれっ、え、ええー?
私がトップになってる!
一体どうして?
トップの親と、1700点差でしたよね。
ということは、親以外の誰かが満貫をツモあがりすると、
必然的に、るなちゃんが逆転トップなのです。
そうか!親の支払いは4000点、子の支払いは2000点。
差し引き2000点、差が縮まるんだった!
私たち7妖精は、いつだって、るなちゃんの味方です。
忘れないで下さいね。
理由も分からず、怒ってごめんね。
なるほど、敵を応援すると、自分がトップになるような
場面もあるんだ。
海底牌をツモらせろ!の意味が、お分かり頂けましたか?
うん!よく分かった!
『満貫をツモってもらえれば逆転トップ』っていう他に、
海底牌をツモらせた方がいいシチュエーションってある?
そうですね。こんな場合はどうでしょうか。
東家 34300点

北家 13000点


南4局 ドラ

南家 36700点
(るなちゃん)


西家 15000点
 
これは、2着の上家が立直。
あがられても、あっ、自分が不聴でも、逆転されちゃう!
そして私は不聴。万事休すだ…。
でもこれ、私が海底牌を取らずに、チーした方がいいんでしょ?
はい。間違いなくチーです。
何故だと思いますか?
えーっと…あっそうか!
3着の下家がアガってくれれば、
私がトップのままなんだ!
その通りです。
もはや万策尽きた…そう思われる場面ですが、
海底牌に一縷の望みを託し、下家へ海底牌を譲る…。
こんな海底ずらしも、あるんですよ。
じゃあ、そゆことで、そのチー!
下家さん、どうかアガってー!
ここで示した局面は、一例に過ぎません。
敵との点数差をよく理解し、海底牌の行方を操って、
海底牌を、ある時は奪い、またある時は差し上げる…。
自分が最も有利となるような状況を、作り出して下さい。
喰い仕掛けが大したことないなんて言ってた、
初級の頃の私をぶん殴ってやりたいよ。
これは確かに奥が深いし、なにより面白いね!
自分が最も有利な状況になるような喰い仕掛け…。
奥義「海底ずらし」、しかと学びました。
今後も、いろんな場面で、利用できないか考えながら、
対局するよ。
さすが、るなちゃんです。
その向上心を、いつまでも持ち続けて下さいね。



生牌で海底ずらし
生牌(しょんぱい)っていうのは、
1枚も捨てられていない牌のことだよね。
それが、海底ずらしと、どう関係あるのかな?
ほんの少し、危険を伴いますが、
こんなアグレッシブな術もあることを、お教えします。
危険を伴うの?
ファエルさんにしては、珍しいね。
そうでしょうか。
海底ずらし自体が、割と攻撃的な妨害術なのですが…。
ファエルさん、危険な目に遭うと、
なんかすぐ泣き出しそうなイメージがあってさ。
気を悪くしたらゴメンね。
いえいえ。
食い仕掛けのことを「鳴く」などとも言いますからね。
そうですか。私は、そのようなイメージですか。
それで、生牌海底ずらしの術って言うのは?
具体例をご覧ください。
南家 32300点

東家 14000点


南4局 ドラ

西家 36700点
(るなちゃん)


北家 17000点
 ツモ
ありゃ。私、聴牌できなかったのか。
このままだと、立直の上家が海底牌を引いちゃうよ。
不聴罰符では逆転されないけど、万が一ツモられると、
逆転されるかも…。
さっきの、チーしておけばよかったのかな。
直前の上家のは鳴けなかったし、ポンの材料もないし。
誰か海底ずらし、してくれないかな・・・。
あきらめないで!
ここから、ポンの材料を作ればいいのです。
材料を作るったって、ツモ牌もないし…。
もう、どうしようもないじゃん。
今こそ捨てて下さい。暗刻のを…。
うわー!これ捨てちゃうの?
生牌だよ?危ないよ?
下家、対面も、どうやら勝負を降りている様子。
上家の立直も、おそらく平和手。
単騎待ちの可能性は、著しく低いでしょう。
まあ多分通ると思うけどさ。
安全牌があるのに、なんで、わざわざ?
流局間際までが出てきませんでした。
それはそうですよね。
敵から見て、まだ1枚も出てきていない生牌ですから。
ということは、対面、下家が、
生牌のを止めている可能性が非常に高いです。
しかし、るなちゃんが、安全牌であることを示せば…?
あっそうか!を捨ててくれるかも知れないね!
そしたら、すかさずポンですね。
すごい!を捨てるのが対面でも下家でも、
見事に、上家の海底牌を奪える!
但し、単騎待ちの可能性は0とは言えません。
ほんの少し、危険を伴うというのは、そういう意味です。
アガられると逆転されてしまうような局面なら、
危険を承知で、海底牌をずらすのもアリだね!
まさに捨て身の海底ずらし!



海底前をツモらせろ!
あはは!ファエルさん、字が間違ってるよ。
海底「前」になってる!海底「前」!
間違っていません。海底前でいいのです。
海底前とは、海底牌のひとつ前の牌のことです。
え!これで合ってるの?海底前?
誰にツモらせるの?
上家限定です。
へえ、上家限定。…って待てよ、それってひょっとして、
自分に海底牌が回るようにするってことじゃないの?
まあ、そうとも言います。
しかし、今回の内容は、自分が海底牌をツモるというよりは、
上家に海底前の牌をツモらせることの大切さを
お教えしようと思うのです。
うーん…?
どういう意味があるのか、全く分かんない。
具体例があった方がいいですね。
このような局面で考えましょう。
南家 20500点

東家 30000点


南3局 ドラ

西家 30300点
(るなちゃん)


北家 19200点
えーっと、これは今、
鳴きのない局で、南家がを捨てたとこだね。
僅差だから、不聴罰符もバカにならない局面だ。
とはいえ、なら鳴くんだけど、
じゃ手が進まないね。特に何もしないよ。
実は、この、チーすると良いのです。そして、
喰い替え無しならばを、
喰い替え有りならばを捨てます。
・・・南家に行くはずだった海底牌を食い取ったんだね。
だけど、私、聴牌してないし、聴牌もしないよ?
なんの意味があるのか、全然分からないんだけど・・・。
これをチーしたことで、るなちゃんは、
ある権利をひとつ得たのです。
何だと思いますか?
権利!?・・・わかんない。
私は、何の権利を得たの?
『チーする権利』です。
ち、チーする権利!?
どういうこと?


るなちゃんが、この手を聴牌するには、

このいずれかを引けばいいことは分かりますね?
うん。結構広い。
私は西家だから、次が最終ツモ。
「テンパれ!」って念じる場面だよね。
しかし、先ほど、るなちゃんが仰いましたように、

これを鳴いても聴牌するわけです。。
まあ、そうなんだけどさ。
ご覧の通り、上家はを捨てたから、聴牌しないじゃん。
こんなの、チーしても仕方ないでしょ?
このをチーして、を捨てたとすると、
 

の受け入れを損しますが、相変わらず、
をチーすれば聴牌です。
いやいや・・・そんな、夢物語を語ったって・・・。
河底牌は、鳴けないじゃん。
ところがどっこい。
次巡、上家が捨てる牌は、河底牌ではないのです。
え・・・ああ、そっか!
をチーすると、海底牌は私のものだった!
ってことは、このチー、全然意味ないように感じたけど、
よく考えれば、次巡、もう1回チーのチャンスを作る
チーだってことだ!
そういうことです。
上家のチーでも聴牌を期待できる、という点で、
は必ず鳴くべきでしょう。
今回の場合、はほぼ安全牌ですし、
ピンズが大変安いので、あたりは
上家も安心して捨てそうですね。
上家が鳴けない牌を出しても、ダメでもともとです。
海底牌で聴牌することに期待しましょう。
海底前を上家にツモらせて、自分がチーするチャンスを作るんだね!
やっと、「海底前をツモらせろ」っていう意味が分かったよ!



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